暑いです
ベランダでへばってます。
ご飯も水も飲みません。
それでもベランダは今
彼女の唯一の気分転換の場のようです。
彼女は猫です。
本来なら、
このようにじべたに這いつくばっている動物ではありません。
日長苦痛と気持ち悪さに耐えて過ごしたいと思う動物でもありません。
走って飛んで三次元移動をして
おいしいものを食べて飽きたら寝たい動物です。
ダーリンさんが、
腹をくくった模様です。
この男は男にしては珍しく、征服欲の薄い優しい男。
自分が悲しい より くるみの苦痛がない を
選べる人はそう多くは無い。
誰だって自分が一番可愛い。
自分が傷つくのがいや。
自分が悪者になりたくない。
だから、「相手のため」という一番ずるいいいわけをして善良ぶるの。
気がついていないだけ。
みんなそう。
気がついていないだけ。
この男だって例外ではない。
でも、
今回は腹をくくった。
選ぶことを選んだ。
まぁ、土壇場でどうなるかわかんないけど(笑)、
そのときはあたしもいるから。
あたしがくるみを引き取ったのは、
「身寄りも引き取り手も無い病気まみれの哀れな猫に救いの手を」
みんなそう言ってくれるけど、
残念だけどあたしはそんな善い人間ではない。
20年そばに居てくれたけど、
20年丸まる愛してやれなかった
応えてやれなかった
辛くて悲しい思いをたくさんさせたココアの
罪滅ぼしがしたかった。
許されたかった。
ココアにしてやれなかったことを、
この何も持っていない猫に注いでやろうと思った。
結局あたしも自分の都合。
でも、
あたしはくるみになにかしてやれたか?
あんた、幸せ?
どうにも話が通じなくて、ひっぱたいたこともあったね。
だってココアは話が通じたもの。
猫はああいうふうにみんな話が通じるものだとおもっていたから、戸惑ったよ。
でも、そのあとはうまく家族になれたと思ってるよ。
白血病を発病させてしまったことはとても悔やんでいる。
みんな「仕方が無い」と言ってくれるけど、あたしは悔しいし申し訳ない。
たくさん病院へ連れて行って
痛い思いや心細い思いをさせてごめんね。
あんたを引き取るとき、「もう入院はさせない」って言ったけど、
嘘になっちゃってごめんね。
生きてほしいと願ったがためにこんな苦労をかけて、ごめんね。
今になって思う。
「ココアにしてやれなかったこと」
それは、本当の意味は、
選ぶこと だったのかもしれない。
あたしはココアは死なないと思ってた。
でも、姉の猫が死んだ。
祈りは現実世界に届かないと知った。
途端、ココアを失うのが恐ろしくて恐ろしくてたまらなくなった。
晩年、あたしはココアと必死で向き合った。
それでもあたしにはココアへの依存と甘えがものすごくあった。
向き合っているようで、
ココアの死について、選択すべてをココア一人に任せて逃げた。
姉は言う
「選んで決断する者は、いつも孤独だ」って。
あたしがそばにいながら、
ココアは独りですべてを決断した。
ココアは恐らく彼女が望んだとおりに死んだ。
何日も帰ってこないダーリンさんを必死で待って、
やっとダーリンさんが帰宅した朝、
動かぬ体をひきずって、きちんとおしっこを済ませてから、
ダーリンさんの目の前で、ダーリンさんの枕で死んだ。
ココアはすごい。
とても強い。
あたしにとって、ダーリンさんにとって、
なによりココア本人にとって、最良の方法で死んだ。
してくれなかったこと、その猫にしてやるんでしょ?
そういうことなのかもしれない。
怖くて選べなかったそれらを、くるみに。
くるみにとって、最良の人生の最期を。
それをあたしは、お膳立てして、選ぶ。
ココアが独りでやったことを、
あたしはダーリンさんと二人でやる。
猫がひとりでやったこと、人間が二人がかりでできなかったら
恥ずかしいもんね。
うまくできたら、
ココア
あいたい
いや 愚かですね
これはあたしの偽善的な自己満足
明日は最後の供血です。
くるみが少しでも復活してくれればいいのですが。
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